IZO の 月

Salasa2008-03-12

今日は 下弦の月
そして、朧な月夜。

きっと井上を殺したあの夜はこんな月夜じゃなかったじゃろうか・・・



ほとんど月もない
暗闇に近い夜

差し出されたおにぎりに目もくれず
わなを仕掛け
隙を突いて
首に縄を巻き
橋げたまでひきずり行き
自分も橋げたに打ち付けられながら
縄を橋げたに一周させ
右足を橋げたにかけ
おもいっきり
おもいっきり
力の限り
そのなわを引き絞り
縄を引き絞る手が小刻みに震え
天誅じゃあ!』と
天に向かって
声を限りに叫び

井上を絞殺するIZO
このときの「絵」が好きだった===
名シーンじゃろう!

そんなシーンを思い浮かばせる
心寒い
月夜でした。


いのうえ:ふん、あんなどこの馬の骨か分からん新参者におまえをわたせるか!
     お前のことはわしが最後までみとっちゃる

いぞう:《有難うごぜぇます》
     わしももうぼろぼろになって京の町を逃げまわるのは疲れました
     おとなしゅういのうえさまのお手にかかります
いのうえ;《おう、腹へッちょるじゃろう
     さっき、茶店で盗んできたがじゃ
     ほら、食え》

いぞう; 痛!

いのうえ:どうした

いぞう;さっき逃げるときに足を

いのうえ;は!《人きりいぞうともあろうもんが・・・》
     どこじゃ、みせてみぃ

いぞう:足首を

いのうえ;ここか

いぞう;痛!

いのうえ;さわってみたが骨は折れとらんようじゃ
    (首に縄をまかれる)ウ!

いぞう;武市先生はまた尊攘の時がくるとおっしゃったがじゃ

いのうえ;来るかー!そんなもん!!

いぞう;それまでは、《ここで武市先生の来られるのを待つがじゃ》
    天誅じゃあ
    おぬしにも天誅くらわしちゃるぅ!

(いのうえ息耐える)

のう、いのうえぇ!
わしもときどきはかんがえるんじゃがのぅ
天誅の天ちゅうはどこにあるがじゃろうのぅ
おぬしの天は容堂さま
わしの天は武市先生
けんど、夜になって星をみちょるとよぅ
天が動きよるのがわかるんじゃ

天は動きよる
なら、何を天じゃと信じておればええのじゃろうのぅ
のう、いのうえぇ
教えてくれんかぁ
(と、さらにゴザ越しに、いのうえを刺し、返り血をゴザに受ける)

わしに分かるのはのぅ
人を斬ればこうして血が出るちゅうことだけじゃ
武市先生を信じてまっちょればええのかのぅ

新撰組に追われて去るいぞう)


      《  》はちょっとうろ覚えですので、ご勘弁を・・・


死骸のいのうえにさらに刀を刺すいぞうの不気味さ

返り血をゴザに受け流すいぞうのずるさ

(以前NHK新撰組
藤原竜也演じる沖田が飲み屋で
「こう斬れば返り血を浴びずに済みます。こうやってすぐに飲みに来れるために」
というようなことを、
新撰組の面々に得意げに話しているシーンを思い出しました。
ニコニコを話す沖田に怖さを覚えたものです)


死体にずーッと話しかけているいぞうの悲しさ


はあ、また思い出してしまいました。
ご本人はニッコリ焼肉たべてるというのに・・・