IZO の 月
今日は 下弦の月。
そして、朧な月夜。
きっと井上を殺したあの夜はこんな月夜じゃなかったじゃろうか・・・
ほとんど月もない
暗闇に近い夜
差し出されたおにぎりに目もくれず
わなを仕掛け
隙を突いて
首に縄を巻き
橋げたまでひきずり行き
自分も橋げたに打ち付けられながら
縄を橋げたに一周させ
右足を橋げたにかけ
おもいっきり
おもいっきり
力の限り
そのなわを引き絞り
縄を引き絞る手が小刻みに震え
『天誅じゃあ!』と
天に向かって
声を限りに叫び
井上を絞殺するIZO
このときの「絵」が好きだった===
名シーンじゃろう!
そんなシーンを思い浮かばせる
心寒い
月夜でした。
いのうえ:ふん、あんなどこの馬の骨か分からん新参者におまえをわたせるか!
お前のことはわしが最後までみとっちゃる
いぞう:《有難うごぜぇます》
わしももうぼろぼろになって京の町を逃げまわるのは疲れました
おとなしゅういのうえさまのお手にかかります
いのうえ;《おう、腹へッちょるじゃろう
さっき、茶店で盗んできたがじゃ
ほら、食え》
いぞう; 痛!
いのうえ:どうした
いぞう;さっき逃げるときに足を
いのうえ;は!《人きりいぞうともあろうもんが・・・》
どこじゃ、みせてみぃ
いぞう:足首を
いのうえ;ここか
いぞう;痛!
いのうえ;さわってみたが骨は折れとらんようじゃ
(首に縄をまかれる)ウ!
いぞう;武市先生はまた尊攘の時がくるとおっしゃったがじゃ
いのうえ;来るかー!そんなもん!!
いぞう;それまでは、《ここで武市先生の来られるのを待つがじゃ》
天誅じゃあ
おぬしにも天誅くらわしちゃるぅ!
(いのうえ息耐える)
のう、いのうえぇ!
わしもときどきはかんがえるんじゃがのぅ
天誅の天ちゅうはどこにあるがじゃろうのぅ
おぬしの天は容堂さま
わしの天は武市先生
けんど、夜になって星をみちょるとよぅ
天が動きよるのがわかるんじゃ
天は動きよる
なら、何を天じゃと信じておればええのじゃろうのぅ
のう、いのうえぇ
教えてくれんかぁ
(と、さらにゴザ越しに、いのうえを刺し、返り血をゴザに受ける)
わしに分かるのはのぅ
人を斬ればこうして血が出るちゅうことだけじゃ
武市先生を信じてまっちょればええのかのぅ
(新撰組に追われて去るいぞう)
《 》はちょっとうろ覚えですので、ご勘弁を・・・
死骸のいのうえにさらに刀を刺すいぞうの不気味さ
返り血をゴザに受け流すいぞうのずるさ
(以前NHKの新撰組で
藤原竜也演じる沖田が飲み屋で
「こう斬れば返り血を浴びずに済みます。こうやってすぐに飲みに来れるために」
というようなことを、
新撰組の面々に得意げに話しているシーンを思い出しました。
ニコニコを話す沖田に怖さを覚えたものです)
死体にずーッと話しかけているいぞうの悲しさ
はあ、また思い出してしまいました。
ご本人はニッコリ焼肉たべてるというのに・・・
こ